湿度や気温が高い夏場に発生する食中毒の多くが細菌性の食中毒です。細菌が付着した食品を食べることで発生する感染型の食中毒には、サルモネラ菌、カンピロバクター、腸炎ビブリオなどがあります。また、摂取した細菌が腸管内で増殖し食中毒症状を引き起こす腸管出血性大腸菌、セレウス菌などの生体内毒素型や感染型の食中毒より潜伏期間が長いO-157や黄色ブドウ球菌なども細菌性食中毒です。嘔吐や下痢、発熱など食中毒が疑われる患者さんが受診した場合に看護師の業務として一番重要になるのが問診です。海外旅行の有無や、屋外での飲水、外食、加熱不足の食品の摂取など食中毒の原因となる食品を食べた時期や症状を自覚した時期により原因となる細菌が特定できることがあります。細菌の種類によっては潜伏期間もあるため3日~7日前までの食事内容を確認しておきましょう。さらに、学校や保育園、介護施設などで同様の症状が発生していなかも確認することが大切です。

抗菌薬が有効な大腸菌やカンピロバクターなどもありますが、食中毒の治療は基本的に電解質の経口摂取や点滴静注などの対症療法となります。糖尿病や肝硬変など既往歴がある患者さんの場合は、容態が急変する可能性もある為、自覚症状だけでなくバイタルサイン、嘔吐や便の回数・内容物のチェックなど看護師が細かな確認を行っておくことが重要です。なお、患者さんとの接触や排せつ物からの二次感染を予防する為に手洗いなどの接触予防対策を心がけましょう。